患者さんの声

アトピー性皮膚炎の症状と長く付き合いながら、症状をコントロールし、ご自身のYouTubeチャンネルでも体験談を発信されているわくたよしのぶさんと一緒に、「アトピー性皮膚炎のリアル」についてお話をお伺いしました。

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【アトピー性皮膚炎の発症】
中学3年で症状が気になり皮膚科へ

【アトピー性皮膚炎の発症】
中学3年で症状が気になり皮膚科へ

かゆにゃん:
今見ていると、アトピー性皮膚炎で悩んでいたとは見えないのですが、
症状が出始めたのは、いつ頃なんですか?

わくたさん:
アトピー性皮膚炎の皮疹が出ていたのは赤ちゃんの頃からですが、
中学に入って、バレーボール部に入った頃から、生活への影響が大きくなりました。夏の汗でかゆくなるというより、冬の乾燥で一気に悪くなるタイプでした。レシーブをすると、ボールが当たった手や腕の皮膚がパックリ割れて、ボールに血がつくんです。
肘や膝にサポーターをしていましたが、血が出ないように、というより、周りの目が気になって「隠したい」という気持ちの方が強かったですかね。
だから、当時の写真とかもほとんど残ってないです。

かゆにゃん:
そのころは病院でどんな治療を受けていたのですか?

わくたさん:
中学3年生の冬に、顔にも一気に出るようになって、
病院に連れて行ってもらいました。顔用と体用の薬、あと保湿剤をもらいました。ぬり始めたら、驚くほどよくなって。
でも、よくなると薬をぬるのが面倒になって、勝手にやめてしまって。赤みや湿疹が出てきたら、またぬる、という繰り返しでした。
そのうち冬も終わって、受験も終わって、自然と症状も落ち着いたので、病院にも行かず、薬もぬらなくなりました。注)

注意:これは患者さん個人の経験による主観的なコメントです。

かゆにゃん:
症状がよくなるとやめてもいいのかな?って思っちゃうにゃん。
病院も行かず、薬も保湿もしなくて、「大丈夫かな〜」みたいな心配はなかったですか?

わくたさん:
そのときは「また悪くなったら、病院に行けばいい」、それくらいにしか考えていなかったと思います。
薬はできるだけ薄くぬって、よくなったらすぐやめる。
今思えば、これって完全に間違いなんですよね。
知らないって怖いですよね。 

かゆにゃん:
自己判断って、やっぱり怖いですよね。アトピー性皮膚炎の治療は、よくなってからの続け方も大事だし、正しい知識って大切ですよね。 

【高校生時代のアトピー性皮膚炎】
部活にも高校生活にも影響が大きくなって・・・

【高校生時代のアトピー性皮膚炎】
部活にも高校生活にも影響が大きくなって・・・

かゆにゃん:
いったん落ち着いていたアトピー性皮膚炎の症状は、高校生になってどうなったんですか?

わくたさん:
高校でもアトピーの症状はそれなりに出ていました。
バレー部の練習で、オーバーハンドパスをすると、爪と指の間が裂けてきて、ボールに血がつくんです。
それだけじゃなくて、手から血しぶきが飛ぶので、練習中にマネージャーから「めっちゃ顔に血ついてるよ」って言われて、ちょっと恥ずかしかったです。

かゆにゃん:
バレーボール中、汗をかくとかゆくなるのは大丈夫でした?

わくたさん:
高校の頃になると、夏もかゆくなったりするようになったので、 汗をかくとかゆかったです。
知らないうちに背中とかを掻きむしって、血が出るので、血がついても分からないように、黒とか色の濃い練習着を着るようにしていました。白い服は着られなかったです。

かゆにゃん:
atopykaiwa(インスタグラム)の投稿では、「汗をかいたらすぐ洗い流して、着替えましょう」って書いてあったけど、
高校生のころは、汗のケアとかできてましたか。

わくたさん:
もう、全然ですね。夏場とか、汗をかいたら休憩中にちょっと脱いで、絞って、それを乾かしてもう1回着るとかしてましたね。
当時はもう20年くらい前だったので、「アトピー性皮膚炎は保湿やスキンケアが大切」1)っていう理解が、僕も周りもまったくなかったんです。
実際、着替えたり保湿したりする時間もなかったですね。 

1)大塚篤司、堀向健太:最新医学で治すアトピー、河出書房新社:P32、2021

かゆにゃん:
この頃のわくたさんのセルフケアは自己流みたいですけど、
高校生の時は病院に行ってなかったんですか? 

わくたさん:
高校3年生の夏に、顔、首、全身に湿疹が出てきました。
バレーボールの練習をやって、休憩の時に汗が引いて皮膚が乾いてくると、肘を伸ばすのも痛くなるし、首の皮疹も乾いて引き攣れるんです。
僕はセッターだったんですが、トスを上げる時に首を左右に振るのも痛くて、
「これはさすがに何とかしたい」
と思って、病院へ行きました。
ちょうどその頃、地元に新しい皮膚科ができていて、
「そこに行けば、またよくなるだろう」
「とりあえず薬さえもらえればいい」
そんな感覚でしたね。

かゆにゃん:
病院へ行って、どうでした? 

わくたさん:
とりあえず出してもらった薬をぬったら、一旦症状が落ち着いたので、
また、病院へ行くのをやめてしまいましたね。注)

注意:これは患者さん個人の経験による主観的なコメントです。

かゆにゃん:
高校生になってから経験するアトピーって、中学生の時とはまた違いましたか。 

わくたさん:
アトピーさえなかったら、もっとバレーに集中できたし、彼女や友達に「どう見られてるんやろう」って気にしなくてすんだのにな・・・とか気持ちの負担が大きかった気がします。
当時、やっぱり顔の症状が強かったので、この見た目の自分と一緒に歩いて、嫌な気持ちにならないかな、恥ずかしくないかなとか、そんなことばかり気にしていました。
この頃も写真は嫌で、ほとんど撮ってないですね・・・

かゆにゃん:
3年生だと受験勉強にも集中できなくて困ったんじゃないですか? 

わくたさん:
受験勉強は大事だったんですけど、自分が特に一生懸命したい部活や、恋愛を含む交友関係が100%で思うようにできない、自信を持ちきれないというか、アトピーの症状がハードルになっていたっていう記憶がすごく強いですね。

【社会人時代のエピソード】
顔の赤みが気になって仕事を休む日も・・・

【社会人時代のエピソード】
顔の赤みが気になって仕事を休む日も・・・

かゆにゃん:
わくたさんが、アトピーとの向き合い方が変わるきっかけはありましたか?

わくたさん:

わくたさん:
社会人になってからですね。
仕事のストレスとか疲労が関係していたかは分からないですが、だんだん症状が出てきたな、と思っていたら、
結構ひどくなってきて、顔もなのですが、全身に湿疹やかゆみの症状が出て、仕事を休むこともありました。
それで、また皮膚科に行って薬をもらったんですが、
今回は薬をぬっても、症状がおさまらなくなってきたんです

かゆにゃん:
それでどうしたんですか?

わくたさん:
いろいろ調べているうちに、
「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」というものにたどり着いたんです。
「こんなに医学として、治療の方針が示されているんだ」と、すごく驚きました。
薬のぬる量や1)、プロアクティブ療法2)、そして、「ぬり薬・飲み薬・注射などの薬物療法やスキンケア・悪化要因の除去」の3本柱でやっていくことが大切3)だと書かれていて。
それまで自分がやってきたことと、あまりにも違っていて、びっくりしました。

1)大塚篤司、堀向健太:図解 最新医学で治すアトピー 株)河出書房新社:P46-47、2021
2)大塚篤司、堀向健太:図解 最新医学で治すアトピー 株)河出書房新社:P56-57、2021
3)大塚篤司、堀向健太:図解 最新医学で治すアトピー 株)河出書房新社:P32-33、2021

かゆにゃん:
どんなところが違っていたと感じましたか?

わくたさん:
フィンガーチップユニット(FTU)といって、
薬には適切な量があるんですよね1)
それに、僕は良くなったら自己判断ですぐに治療をやめていましたが、
プロアクティブ療法っていうのがあって、よくなっても皮膚の中には炎症の火種があるので、先生と話し合いながらきちんと治療やスキンケアを継続していくということを知りました2)

1)大塚篤司、堀向健太:図解 最新医学で治すアトピー 株)河出書房新社:P46-47、2021
2)大塚篤司、堀向健太:図解 最新医学で治すアトピー 株)河出書房新社:P56-57、2021

かゆにゃん:
スキンケアについてはどうですか? 

わくたさん:
毎日のスキンケアこそが大切だと知りました。
全然、これまでやってきたことと違いましたね。
でも、医学的に示された指針を、毎日シンプルに続けただけなんですが、
皮膚の状態がどんどんよくなっていって、自分でも治療の手応えを感じました。注)

注意:これは患者さん個人の経験による主観的な感想になります。

かゆにゃん:
スキンケアの仕方とかで、
「昔の自分と変わったな〜」と感じるところはありますか? 

わくたさん:
今では、毎日朝晩保湿したり、出かける前には日焼け止めを塗ったり、
真夏は日傘をさしたり、特に周りも気にせずできるようになりました。
周りからは 「ちゃんとお肌のこと気遣ってすごいね」って、
アトピーにはスキンケアが大事っていうのも、
世の中に広まってきたんだなって思います。 

【アトピー性皮膚炎の治療についての医師との会話】
診察室で見えているのは、ほんの一部。
いつ、どんなふうに困っているのか具体的に伝えることが大切

【アトピー性皮膚炎の治療についての医師との会話】
診察室で見えているのは、ほんの一部。 
いつ、どんなふうに困っているのか具体的に伝えることが大切

かゆにゃん:
スキンケアって面倒に感じることもありますが、
毎日続けられるモチベーションがすごいですね。

わくたさん:
やっぱり自分で「なぜ、これが必要か」という理由みたいなところがきちんと理解できてから取り組めると、自分なりに整理がつくというか、積極的にできるようになるのかなと思います。
病院で先生からも、「アトピーの冊子を患者さんに渡しても、ほとんど読まれない」と言われたことがありますが、
僕自身も、昔はまさにそうでした。
でも、先生からもらう冊子や、医学的な裏付けのある正確な情報をもとに、
自分で理解していくことは、すごく大切だと思います。

かゆにゃん:
先生と、だんだんうまく会話できるようになったのも、
正しく治療を理解できるようになったからですか?

わくたさん:
「よくなりますか?」って、みんな聞きたいと思うんですが、
それよりも、例えば、顔の赤みとか首のかゆみとか、どの部分のどんな症状に困っているかをはっきり伝えた方が先生も分かりやすいと思います。
また、「かゆみがとれたら何がしたいか」、「困っていることが解消したら何をしたいか」など、よくなった後の希望までをはっきり伝えた方が、先生も治療方針を立てやすいと思うんです。
でも、治療の選択肢にはどんなものがあって、今自分はどの治療を受けているのか。そこを理解できていないと、「今困っている症状をどう改善したいのか」、「治療で何を目指したいのか」といった治療目標も、自分では見えてこないんですよね。
だから、以前の僕みたいに、「とにかくよくなりたいから、薬をください」みたいな感じで、
先生との会話もふわっとした感じになっちゃうんですよね。

かゆにゃん:
「症状については、言わなくても見たら分かるでしょ」
って思っちゃうこともありますよね。

わくたさん:
そうなんです。僕も昔は、先生に伝える必要性なんて感じてなくて。
だって、湿疹があるのは見たら分かるでしょ、辛いのは見たら分かるでしょって思ってましたから。
でも、診察室で見えているのは、ほんの一部。
かゆみで眠れないことや、シャワーを浴びると痛いことなど、
生活の中で、「いつ、どんなふうに困っているのか」
を具体的に伝えないと、分からないですよね。 

【アトピー性皮膚炎の体験を通じて】
今だから、伝えたい。
リアルな気持ち。

【アトピー性皮膚炎の体験を通じて】
今だから、伝えたい。
リアルな気持ち。

かゆにゃん:
先生との会話で、印象に残っていることはありますか?

わくたさん:
特に、頬の赤みが一番困っていて、先生に「仕事でお客さんと話すので、頬の赤みをしっかり改善したい」
と伝えました。すると先生が、
「今使っている薬の影響かもしれないし、アトピーとしての炎症が残っている可能性もある。今は判断できないから、一度、頬に赤みの影響が出にくい薬に変えて、様子をみてみませんか?」と提案してくれたんです。
「なるほど、そんな2つの可能性があるんだ」と納得しました。僕が先生に治療の反応を伝えて、様子を見ながら治療を選択していくっていうのが、一緒に取り組めてる感じがすごくしました。

たくさんの薬があって、たくさんの患者さんがいて、反応や治り方も人それぞれ。だからこそ、先生も患者さんと会話しながら、一緒によりよい方法を見つけていくことが大切なんだ、と思えるようになりました。

かゆにゃん:
わくたさんのお話を聞いて、患者さんと先生が一緒に、「アトピー性皮膚炎を改善してどんな自分になりたいか」と「会話」することが大切だなと思いました。

わくたさん:
そうですね。これからも、アトピー性皮膚炎の患者さんのリアルな気持ちや先生との会話の大切さをどんどん配信してください。期待しています