今、アトピー性皮膚炎について、先生と患者さんが 話しているのは、“悩み”ではなく“希望”です。

監修 江藤隆史先生

東京逓信病院 皮膚科 客員部長 /
あたご皮フ科 副院長

アトピー性皮膚炎について

今、アトピー性皮膚炎について、先生と患者さんが 話しているのは、“悩み”ではなく“希望”です。

監修 江藤隆史先生

東京逓信病院 皮膚科 客員部長 /
あたご皮フ科 副院長

アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎とは、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な症状とする皮膚の病気です。アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因に加えて、環境要因が複雑に絡みあい発症します。症状の経過は慢性的であり、年齢とともに変化します。そして、他のアレルギーの病気を合併することが多いとされています。

医療情報科学研究所編 : 病気がみえるVol.06 免疫・膠原病・感染症 第2版、  アトピー性皮膚炎 : P52、2018

アトピー性皮膚炎になりやすいタイプ

 

「アトピー素因」を持つ人は、アトピー性皮膚炎を発症しやすいと考えられています。

次のようなタイプの人にはアトピー素因があります。

家族や自分自身が気管支喘息、アレルギー 性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうち いずれかに罹った経験がある

IgE抗体を産生しやすい体質

IgEとは・・Igは免疫グロブリンの略で、ウィルスなどの異物を認識して排除してくれる物質です。IgEはダニやハウスダストなど日常的に環境中に存在する物質に反応します。

アトピー性皮膚炎ガイドライン: 日皮会誌, 128 (12) : 2431-2502、2018

アトピー性皮膚炎になりやすいタイプ

 

「アトピー素因」を持つ人は、アトピー性皮膚炎を発症しやすいと考えられています。

次のようなタイプの人にはアトピー素因があります。

家族や自分自身が気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれかに罹った経験がある

IgE抗体を産生しやすい体質

IgEとは・・Igは免疫グロブリンの略で、ウィルスなどの異物を認識して排除してくれる物質です。IgEはダニやハウスダストなど日常的に環境中に存在する物質に反応します。

アトピー性皮膚炎ガイドライン: 日皮会誌, 128 (12) : 2431-2502、2018

アトピー性皮膚炎が起こる理由

 

アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応の体質を持つ人が、食物やダニ、花粉などアレルゲンに触れることで体の免疫システムが過剰に反応して、炎症を起こすという免疫学的な異常が発症に関係していると考えられてきました。
最近では、さらに研究が進み、アトピー性皮膚炎の発症には、アレルギー体質とは別に、皮膚が乾燥し、バリア機能が低下して皮膚に炎症が起きやすい体質も重要な要因であることが分かってきました。
つまり、アトピーは「持って生まれたアレルギー体質」とアレルギーとは別の「皮膚のバリア機能が低下する体質」とが重なり合って起きる病気なのです。

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで 第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p32、2005

アトピー性皮膚炎発症のメカニズム

五十嵐敦之 : EBNURSING Vol.11 Suppl.1:196-202, 2011

アトピー性皮膚炎発症のメカニズム

五十嵐敦之 : EBNURSING Vol.11 Suppl.1:196-202, 2011

アトピー性皮膚炎の皮膚は

バリア機能がこわれた状態


もともと皮膚には微生物や病原菌、ウイルス、そしてダニやホコリなどの異物による外的な刺激からからだを守る「バリア機能」が備わっています。皮膚のバリア機能において中心的な役割を担っているのが、皮膚の角質層という表面の部分にある“セラミド”です。

セラミドは皮膚のうるおい成分で、皮膚の内部への異物の侵入を防ぐとともに、皮膚の表面をしっとりさせる保湿作用を持っています。アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、このセラミドが減っているために、細胞に隙間ができてしまい、その隙間から水分が逃げて、肌が乾燥しやすい状態になっています。そのため、炎症が起きてない時にも、外からのちょっとした刺激(例えば、こする、汗をかく、花粉がつくなど)でも強いかゆみが起こりやすい状態となっています。

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで

第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p34、 2005

アトピー性皮膚炎の患者さんと普通の健康的な肌の違い(イメージ図)

江藤隆史 : シリーズ専門医に聞く 「新しい治療とクスリ」 2アトピー性皮膚炎、論創社 : p39、 2016

〜アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は

生活環境にないですか?〜


生活環境は、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因として見直す必要があります。一見すると、清潔で温度調節の行きとどいた住まいは、ダニが住み着いてカビが生えやすい環境です。イヌやネコ、ハムスターなどの小動物にアレルギー反応を起こす人もいます。精神的なストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させることもあります。

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで

第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p33、2005

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因

ダニ(ヒョウヒダニ) ★もっとも多い
ハウスダスト(ホコリ) ★多い
カビ類
花粉(スギ、イネ、ブタクサ、シラカバなど)
ペットの毛
食べ物(牛乳・卵・大豆など)
おとなの場合、ほとんど制限する 必要はありません。
子どもの場合でもまれです。
精神的ストレス
環境汚染??(これも悪化要因のひとつかもしれません)

 

江藤隆史:おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで  第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p33、2005

アトピー性皮膚炎の皮膚は バリア機能がこわれた状態


もともと皮膚には微生物や病原菌、ウイルス、そしてダニやホコリなどの異物による外的な刺激からからだを守る「バリア機能」が備わっています。皮膚のバリア機能において中心的な役割を担っているのが、皮膚の角質層という表面の部分にある“セラミド”です。

セラミドは皮膚のうるおい成分で、皮膚の内部への異物の侵入を防ぐとともに、皮膚の表面をしっとりさせる保湿作用を持っています。アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、このセラミドが減っているために、細胞に隙間ができてしまい、その隙間から水分が逃げて、肌が乾燥しやすい状態になっています。そのため、炎症が起きてない時にも、外からのちょっとした刺激(例えば、こする、汗をかく、花粉がつくなど)でも強いかゆみが起こりやすい状態となっています。

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで

第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p34、 2005

アトピー性皮膚炎の患者さんと普通の健康的な肌の違い(イメージ図)

江藤隆史 : シリーズ専門医に聞く 「新しい治療とクスリ」 2アトピー性皮膚炎、論創社 : p39、 2016

〜アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は 生活環境にないですか?〜


生活環境は、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因として見直す必要があります。一見すると、清潔で温度調節の行きとどいた住まいは、ダニが住み着いてカビが生えやすい環境です。イヌやネコ、ハムスターなどの小動物にアレルギー反応を起こす人もいます。精神的なストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させることもあります。

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで

第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p33、2005

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因

ダニ(ヒョウヒダニ) ★もっとも多い
ハウスダスト(ホコリ) ★多い
カビ類
花粉(スギ、イネ、ブタクサ、シラカバなど)
ペットの毛
食べ物(牛乳・卵・大豆など)
おとなの場合、ほとんど制限する 必要はありません。子どもの場合でもまれです。
精神的ストレス
環境汚染??(これも悪化要因のひとつかもしれません)

 

江藤隆史:おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで 第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p33、2005

アトピー性皮膚炎で

おこりやすいかゆみの悪循環

アトピー性皮膚炎のかゆみは、最初は狭い範囲でごく軽いものだったのが、指や爪でひっかいてしまうことによりどんどん広がり、皮膚のバリア機能をこわして悪循環に陥ります。
バリア機能が壊れて無防備になった皮膚の表面からは、ダニやカビ、花粉、紫外線、洗剤などの異物の刺激がどんどん入り込み、ますます痒みが増します。
そして、かけばかくほど皮膚の炎症が広がり、またかゆくなっていきます。
そのため、アトピー性皮膚炎の悪循環を断ち切るためには、かゆみ対策が重要です。

江藤隆史 :おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで 第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 :p40、 2005

アトピーのかゆみのメカニズム

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで

第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p41、 2005

アトピー性皮膚炎で おこりやすいかゆみの悪循環

アトピー性皮膚炎のかゆみは、最初は狭い範囲でごく軽いものだったのが、指や爪でひっかいてしまうことによりどんどん広がり、皮膚のバリア機能をこわして悪循環に陥ります。
バリア機能が壊れて無防備になった皮膚の表面からは、ダニやカビ、花粉、紫外線、洗剤などの異物の刺激がどんどん入り込み、ますます痒みが増します。
そして、かけばかくほど皮膚の炎症が広がり、またかゆくなっていきます。
そのため、アトピー性皮膚炎の悪循環を断ち切るためには、かゆみ対策が重要です。

江藤隆史 :おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで 第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 :p40、 2005

アトピーのかゆみのメカニズム

江藤隆史 : おとなのアトピー

治療とライフスタイル〜メイク術まで

第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう

小学館 : p41、 2005

アトピー性皮膚炎の症状


皮膚の乾燥状態は年齢によって変わっていくため、アトピー性皮膚炎の症状も年齢 によって変わっていく傾向にあります。
乳児期
0〜2歳

◯じくじくした湿疹が、主に顔や頭などにみられます。

◯この時期には皮脂の分泌が盛んなため、アトピーではない赤ちゃんでも湿疹ができることが多いので、すぐに診断がつかないこともあります。

幼・小児期
3〜12歳

◯この時期の子どもは、実は高齢者とよく似た乾燥肌です。アトピーの症状も、カサカサしています。

◯角質が乾燥して白いカスが皮膚の表面についたり、かきこわし続けるとゴワゴワしてコケのように厚くなります。

◯耳切れも見られます。

◯ダニやハウスダストに対するアレルギーが主体になります。

思春期・成年期
13歳〜

◯思春期にはホルモンの影響で皮脂の分泌が盛んになり、乾燥肌がしっとりするので一時的にアトピーの症状が軽くなることもあります。 逆にニキビが出て、悩みのたねになることもあります。

◯一方で、受験や人間関係のストレスなどが加わり、重症化して治りにくくなる例も増えています。

◯成年期以降になると、顔全体が赤くなったり、首に黒褐色のさざ波のような色素沈着が見られたりするようになります。

◯腕や脚にしこりのようなブツブツ(結節性痒疹)ができるなど、いわゆる「成人型のアトピー」になると、アトピー性皮膚炎が長期化して、なかな か症状が改善しないこともあります。

注意:上記の内容が全ての患者さんに

当てはまるものではありません。

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで 第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p38-39、2005

〜アトピー性皮膚炎の湿疹のタイプ〜


アトピー性皮膚炎の湿疹には様々なタイプがあります。

写真提供:江藤隆史先生 (東京逓信病院 皮膚科 客員部長/あたご皮フ科 副院長)

アトピー性皮膚炎の症状


皮膚の乾燥状態は年齢によって変わっていくため、アトピー性皮膚炎の症状も年齢 によって変わっていく傾向にあります。
乳児期
0〜2歳

◯じくじくした湿疹が、主に顔や頭などにみられます。

◯この時期には皮脂の分泌が盛んなため、アトピーではない赤ちゃんでも湿疹ができることが多いので、すぐに診断がつかないこともあります。

幼・小児期
3〜12歳

◯この時期の子どもは、実は高齢者とよく似た乾燥肌です。アトピーの症状も、カサカサしています。

◯角質が乾燥して白いカスが皮膚の表面についたり、かきこわし続けるとゴワゴワしてコケのように厚くなります。

◯耳切れも見られます。

◯ダニやハウスダストに対するアレルギーが主体になります。

思春期・成年期
13歳〜

◯思春期にはホルモンの影響で皮脂の分泌が盛んになり、乾燥肌がしっとりするので一時的にアトピーの症状が軽くなることもあります。 逆にニキビが出て、悩みのたねになることもあります。

◯一方で、受験や人間関係のストレスなどが加わり、重症化して治りにくくなる例も増えています。

◯成年期以降になると、顔全体が赤くなったり、首に黒褐色のさざ波のような色素沈着が見られたりするようになります。

◯腕や脚にしこりのようなブツブツ(結節性痒疹)ができるなど、いわゆる「成人型のアトピー」になると、アトピー性皮膚炎が長期化して、なかな か症状が改善しないこともあります。

注意:上記の内容が全ての患者さんに 当てはまるものではありません。

 

江藤隆史 : おとなのアトピー 治療とライフスタイル〜メイク術まで 第2章 アトピー性皮膚炎をきちんと理解しましょう 小学館 : p38-39、2005

〜アトピー性皮膚炎の湿疹のタイプ〜


アトピー性皮膚炎の湿疹には様々なタイプがあります。

写真提供:江藤隆史先生

(東京逓信病院 皮膚科 客員部長/あたご皮フ科 副院長)

アトピー性皮膚炎による、

日常生活や精神面への影響

 

アトピー性皮膚炎では皮膚症状に加えて、症状の強さに応じ、日常生活や精神面に様々な影響を及ぼします。そして、この問題は皮膚症状と同じくらい患者さんにとって大きな負担となることがあります。

日常生活への影響

痒みによって仕事や勉強に集中できない
痒みによって仕事や学校を 休まなくてはいけない
洋服が自由に選べない
髭剃り、メイクアップに制限がある
自由に行動することができない
集団で行動することができない
人間関係に満足できない
夜、眠れない
面接試験に影響しないか不安に感じる

精神的な影響

イライラする
友人からアトピーについて言われて 嫌な気持ちになる
不安
うつ

Anderson RT.et al.:Curr Allergy Asthma Rep 2001:1,309-315

室田浩之 : 診療と新薬 第47巻 第9号 : 148-157,2010

J Am Acad Dermatol 2018 Sep;79(3):448-456.e30

アトピー性皮膚炎による、日常生活や精神面への影響

 

アトピー性皮膚炎では皮膚症状に加えて、症状の強さに応じ、日常生活や精神面に様々な影響を及ぼします。そして、この問題は皮膚症状と同じくらい患者さんにとって大きな負担となることがあります。

日常生活への影響

痒みによって仕事や勉強に集中できない
痒みによって仕事や学校を 休まなくてはいけない
洋服が自由に選べない
髭剃り、メイクアップに制限がある
自由に行動することができない
集団で行動することができない
人間関係に満足できない
夜、眠れない
面接試験に影響しないか不安に感じる

精神的な影響

イライラする
友人からアトピーについて言われて 嫌な気持ちになる
不安
うつ

Anderson RT.et al.:Curr Allergy Asthma Rep 2001:1,309-315

室田浩之 : 診療と新薬 第47巻 第9号 : 148-157,2010

J Am Acad Dermatol 2018 Sep;79(3):448-456.e30